アメリカ・ツアー2004 報告

神戸愉樹美

 4人編成のコンソートで、2004年3月19日から4月5日まで18日間にわたるアメリカ・ツアーを致しました。演奏会は10回あり、会場は市民会館・教会・小学校・大学・邸宅で、5つのプログラムで回りました。ルートは東海岸・西海岸・ハワイ・再び西海岸へと、先方との日程の都合で、行ったり来たりの旅行となりました。乗りよく演奏会の後には立ってくれる聴衆に恵まれて、一同少々度胸を付けてきました。

アメリカ各地では鑑賞団体があり、ボランティアが運営をしています。地元の演奏家や若手の育成に尽力していますが、今回の招聘元のサン・フランシスコ古楽協会SFEMSもその一つでした。オルティス、パーセルなどの古典曲の他に廣瀬量平の「高雅な猫のための組曲」も弾くという条件でした。

SFEMSは渡航手続きのアメリカ側の事務をして下さいましたが、今回のツアーには実質的なエージェントが無かったので、他のコンサートのアレンジは全て自分たちで直に致しました。そのため、通常の、日程・曲目の交渉の他に大変だったのは、ヴィザの手続きと、銀行と税金の日米のちがいなどの理解でした。

欧米の有名なコンソートも往来する中で私たちに機会が与えられるのは、彼らと異なった演奏と曲目を持っているからだろうと思います。演奏はともかく、曲目に特徴があると言っても、いつも現代音楽が求められるわけではありません。実はお客様は圧倒的に現代曲で楽しんで居られますが、スポンサーは金の出所に配慮せねばならないのが実状です。プログラムの構成は古典とアレンジものと現代曲を組み合わせたものですが、先方の希望は大きく分けて「古典中心」と「私たちの好きなように組んで良い」の二つに分かれます。私たちは教育的な会では偏らないように、そして、二度目の訪問地では同じ曲は弾かないことを心がけました。日本人の作品は廣瀬量平、増本伎共子、高橋伸哉、当会員から水野勉、David Loeb氏の作品でした。

サン・フランシスコでは古楽協会の3回講演の他に、今回初めて現代曲だけのプログラムを致しました。それは、現代日本版画の蒐集家の展示会で、一楽章弾くごとに版画をイーゼルに掛け替えていくもので、大成功でした。この回はサン・フランシスコ領事館の後援で日米修好150周年記念行事として扱っていただきました。

今回の旅行で私たちにとって際立って面白かったのは、作曲家とのコンタクトです。アトランタに着くや否や二人の作曲家と会うことになり、私たちがどんな曲を欲しがっている人かリサーチされたり、ハワイでは大学の作曲科の学部・大学院の学生と教授方のためにワークショップが企画されたりしたことです。ここでは、楽器紹介や古楽の作曲上の妙技を解説し、ガンバの現代奏法とその効果、人気投票上位の古今の曲を紹介しました。教授からは「一回しか演奏されない曲を書くのは、もう面白くない。あなた達のために書こう」と仰ったのが印象的でした。

旅行の詳細については会報112号2004年3月20日発行23頁に載せていただきましたが追加は2件ありました。その一つはこのハワイのワークショップでもう一つは子供のプロジェクトでした。3月22日Murphy Elementary School ノース・キャロライナ州の小学校の高学年に、前日の演奏会のスポンサーが贈ったデモンストレーションでは、子供たちが一音一音に目を輝かせてメcool!モ(やるじゃん!スゲーッ!)との反応。日本の子供より更に素直でストレートでした。

2002年に次いで再び長い演奏旅行をさせていただいたのは、誠に幸運だったと思います。同行メンバーは小澤絵里子、野口真紀、橋爪香織。この旅行が実現した陰には日米の多くの方々のご援助とメンバーの家族の支えがありました。心より感謝いたします。

  聞きたい方のあるところ、何処へでも参じたい一同ですので、アメリカだけでなく、西欧や日本でもチャンスを見つけたいと思います。
<日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会会報No.113 June 20, 2004より転載>